針(縫い針と待ち針)の簡単なお話は以前にしたと思いますが、縫うための糸の種類は反物の種類によって変わります。また、縫い上げるために必要な道具があって、これは独特なものもあります。和裁を習った時に初めて見たお道具もありました。
まずは針の抜き差しに必要になるのが「針刺し」です。
ごく一般的な針刺しは市販品であるように、針が刺しやすいように薄い毛織物が良いようです。
次に縫う時に必ず使う「指貫」は自分のサイズに合っていることが大事です。
指貫をはめて針を垂直に当てて針先がほんの数ミリ、およそ0.4ミリ程度出る長さが良いとされています。これは運針の時の指の運びにも影響します。
「ハサミ」は羅紗挟みと握り挟みと習いましたが、要は反物を断つ時の大きなハサミと糸切り用のハサミのことを言います。
「こて」や「アイロン」それぞれの台など熱の入る道具は非常にデリケートな扱いかたをします。「ものさし」は昔ながらの丈のものさしを使います。
「へら」「へら台」などは反物を広げた時にも対応できるような折りたたみ式のものが便利です。私は大きめの二つ折りを使っていましたが、母などは4連の折りたたみ式のへら台を持っていました。「霧吹き」はできるだけ上等なものを用意します。細かい霧が広範囲にわたるようなものが良いとされています。
「くけ台」「くけ針」・・・この漢字がすんなりと変換できないことに少々愕然としました。
糸へんに行くという文字を書くのですが一般的では無いようです。
「袖の丸み」をつけるための道具というのもあります。
そして、両袖がついた状態で平面的に大きく掛けておける「衣紋掛」、柄を合わせるために掛けて使う台もあると便利ですが兼用でも良いと思います。いかがですか?意外と色んな道具を使いますね。
昔の人の知恵と技は本当に素晴らしいもので、お裁縫を進めるうちになくてはならないお道具である事を実感できます。
ミシンで縫う和服?そんな時代になっているようですが、浴衣一つとってもそんなことでは味わえない和裁の奥深さは日本人なら一度くらい味わってもらいたいと思うこの頃です。