和裁の基本「運針」

第1回目は和裁の基本「運針」について話したいと思います。
運針と聞いてみなさんが思い浮かべるものは何でしょうか。
実は私自身、大学生になるまでその言葉すらたいして接することもなく過ごしてきました。
今からもう37年も前のことになります。

まず運針とは糸と針で縫う事を指します。
当たり前のようで当たり前に出来ないのが現代のお裁縫の悲しい現実ではないでしょうか。

和裁においては基本中の基本で、真っ直ぐに縫い進むことが出来なければお話になりません。
来る日も来る日も真っ直ぐに縫えるようになるまで、針と糸と指貫のバランスがしっくりとするまで、とてもとても縫い物などはさせては貰えませんでした。最初に習うものは女性の単(ひとえ)つまり浴衣ですが、この浴衣も単とはいえ真っ直ぐに縫うだけで完成するものではありません。たくさんの縫い方の技法がそこには存在します。

糸を扱うことが1本であろうと、タッセルのように束であろうと、糸に対する思いと何かとても懐かしい思いも込めながら、この「和裁の時間」という投稿を始めることにしました。ご興味があれば時々覗いてみてください。

右手の人差し指と親指で針を真っ直ぐに保ち、中指に当てた鹿の皮でこしらえた「指貫」を当てて針のお尻をきちんと当てながら、動かすのは「布」ではなくてこの親指と人差「指」です。まずはこれが出来ません。布が動くのではなくて針が動くなんて「出来ませ〜ん」というレベルから始めて、とうとう訪問着や道行コート、羽織、名古屋帯まで縫えるようになるのですから日本の伝統技術を少しでも伝えていけたらいいなと、いつかこのような記事を書きたいと思っていました。
そうしてまずは縫い目の表と裏が均一になるように、点々と美しく揃うように縫い進める練習をいたします。

赤い糸と縫い針で初めて縫ったその練習の跡は、やがて1冊の布のノートになりました。
それほど和裁には縫い方の種類があります。

ご興味のある方、ラナン・レイで浴衣を縫ってみませんか?
まずは運針からとなります。着装までご指導いたします。
まずはお問合せからご連絡メールをお送りください。

昔初めて縫った時の浴衣(女物)を引っ張り出してみました。
肩あてと居敷あてがあります。今では見かけないかも知れません

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